小児皮膚科
診療内容
お子様の皮膚で気になることがあればお気軽にご相談ください
当院では、お子様からご年配の方まで、どんな皮膚トラブルでも安心して相談できるクリニックを目指しています。皮膚科専門医として、一人ひとりの症状を丁寧に診察し、処方だけではなく、日々のスキンケアや生活習慣などについてもアドバイスさせていただきます。
皮膚の悪性腫瘍、自己免疫疾患や水疱症など特殊な病気の場合には東北大学病院や東北医科薬科大学附属病院、近隣の仙台赤十字病院や仙台市立病院と連携をとっております。少し気になる些細なことから、他院で診断や治療できなかった皮膚の症状まで、どんなことでもお気軽にご相談ください。
日常生活で遭遇する頻度の高い疾患を症状別に網羅しておりますので、痒み、うつる疾患、痛み、できもの、その他皮膚疾患等お困りの患者様の一助となれば幸いです。
お子様の皮膚疾患でお困りの方
乳児湿疹
乳児期に見られる湿疹の総称です。
乳児で湿疹型の反応をきたす疾患はアトピー性皮膚炎、乳児脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、体部白癬など多岐にわたり、それぞれ原因治療も異なるため、しっかりとした診断が必要となります。
特に、アトピー性皮膚炎については、早期からスキンケアや外用療法を行ったほうが、予防ができたり、経過が良好になることが示唆されているため、鑑別が重要です。
乳児脂漏性皮膚炎
皮脂が過剰に分泌されることで起こる皮膚炎でです。
頭皮やおでこなど皮脂腺の多いとこにできやすく、赤みや黄色いかさぶたやフケを認めます。耳、鼻、胸、股やわきの下などに生じることもあります。
スキンケアは低刺激性の石けんできちんと洗うことが大切です。
治療は、マラセチアが悪化因子の場合は抗真菌薬外用を行い、炎症が強い場合は、短期的にステロイド外用薬を使用することがあります。
オムツ皮膚炎
オムツに覆われた部分は、便や尿、汗で汚れ、高温多湿の環境で、皮膚のバリア機能が低下した状態です。
接触皮膚炎(かぶれ)、汗疹(あせも)、カンジダ性間擦疹などが生じやすく、それぞれが合併することもしばしばあります。
カンジダ性間擦疹は、紅斑、丘疹、膿疱の症状を認め、治療前に顕微鏡検査でカンジダの有無を確認します。
かぶれ(接触皮膚炎)
外的な影響で起こる皮膚炎で、刺激による一次刺激性とアレルギー性があります。
一次刺激性接触皮膚炎:アレルギーは関係なく、誰でも起こりえます。洗剤や石けん、オイルなど刺激の強い物質で起こります。
アレルギー性接触皮膚炎:ある物質を「異物」と体が認識して(感作)、それを排除するために、過剰に反応した結果、皮膚炎が生じます。一度感作が成立すると、接触により何度も皮膚炎を繰り返します。そのため、原因の検索が非常に重要です。
あせも(汗疹)
大量の汗をかいたときに、汗が皮膚の中にたまってしまうことで、白~赤のプツプツやかゆみが生じる皮膚疾患です。
水晶様汗疹(白いあせも)は、正しいスキンケアと適度な保湿で2~3日程度で改善します。
紅色汗疹(赤いあせも)は、炎症を起こしている状態のため、スキンケアに加え、かゆみ止めの塗り薬や局所の副作用の少ないステロイド外用薬を使用することがあります。
虫さされ(虫刺症)
虫刺されによる刺激や毛虫などの有毒物質による急性反応、またはアレルギー反応で、痛みやかゆみを伴う皮膚のブツブツや赤みが生じ、症状が強い場合は浮腫や水疱がみられます。
基本的な治療は、ステロイド外用で、短期間の使用で、早めに治したほうが炎症後の色素沈着が残りにくくなります。二次感染を起こしている場合は、抗菌薬の内服を行います。
マダニに咬まれた場合は、虫体を無理に除去すると口器が皮膚に残存して異物肉芽腫となるので、虫体ごと皮膚を切除いたします。
水イボ(伝染性軟属腫)
接触によるうつる軟属腫ウイルスによる感染症で、主にプールで感染が広がりやすいです。
経過観察で半年~3年程度で自然治癒する場合もありますが、その間に感染の拡大や二次感染を起こすリスクもあります。
当院では、できるだけ早期に摘除することを基本としています。痛みの軽減のために、痛み止めテープの使用やお子様の好きな動画の視聴など工夫を行い、なるべく苦痛が少ない治療をするよう努めています。
とびひ(伝染性膿痂疹)
水疱性膿痂疹:ブドウ球菌が原因で、水疱、びらんを形成します。夏に多く、掻きこわしで発症しやすいです。
痂皮性膿痂疹:溶連菌が原因で、膿疱や厚い痂皮(かさぶた)を形成します。アトピー性皮膚炎に合併しやすく、リンパ節の腫れや咽頭痛などの全身症状を呈することがあります。
治療は抗菌薬の外用と内服を行います。湿疹などを併発している場合は、その治療も同時に行います。
あざ
太田母斑(青あざ):主に片側の額、目の周りの青色斑で、生後すぐに出現する早発型と思春期頃に出現する遅発型があります。
異所性蒙古斑(青あざ):仙骨部以外の場所に生じた蒙古斑で、自然消退しくいのが特徴です。
扁平母斑(茶あざ):出生時より存在する大きさは大小様々で不正形の茶褐色斑です。まれに思春期になって発症するここともあります。
治療は、Qスイッチルビーレーザーによる治療が保険適応です。当院では、少ない治療回数で効果的な早期の治療をおすすめしております。
外用療法について
主に、ステロイド外用薬、非ステロイド系消炎外用薬、タクロリムス軟膏、外用抗菌薬、保湿剤などを用います。
ステロイド外用薬:皮膚の炎症を充分に鎮静することができ、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤です。症状や部位、年齢に応じて強さを調節します。
非ステロイド系消炎外用薬:炎症を抑える力は極めて弱く、接触皮膚炎(かぶれ)を生じることがまれではなく、使う場面は多くありません。
タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏):顔の皮疹に対してステロイド外用薬のミディアムクラス以上の有用性があります。塗り始めて数日間、ほとんどの方が刺激感を訴えますが、症状が軽快すると共に刺激感も消えていきます。
外用抗菌薬:細菌感染症に対して用います。耐性菌の発現を防ぐため、使用は最小限の期間に留めます。
保湿剤:ヘパリン類似物質、尿素軟膏、ワセリンなどがあり、軟膏タイプやローションタイプなど剤型も様々あります。皮膚を保湿することは、日々のスキンケアにおいて非常に大切です。
内服療法について
抗アレルギー薬、内服抗菌薬、漢方薬などを主に用います。
抗アレルギー薬:抗ヒスタミン作用のある内服薬です。じんま疹や花粉症、皮膚のかゆみを抑えます。当院では、眠気の少ない第2世代の薬剤を主に用います。
内服抗菌薬:細菌感染症に対して用います。耐性菌の発現を防ぐため、使用は最小限の期間に留めます。
漢方薬:証に合った漢方薬を補助療法、体質改善目的に用います。かゆみや乾燥はもちろんのこと、夜なきや虚弱体質に効果的な漢方薬もあります。
予防について
スキンケア:肌の状態に応じて、正しい洗浄や保湿を行う必要があります。当院では、肌の状態を確認し、医師または看護師が丁寧にスキンケアについて指導いたします。
食事:甘い物(白砂糖)は、体を冷やす作用があり、血の巡りが悪い瘀血(おけつ)という状態を生じさせます。瘀血の状態が続くと皮膚のトラブルが多くなります。スナック菓子や清涼飲料水は控えめにしましょう。食物アレルギーの約90%が10歳以下で発症し、鶏卵、牛乳、小麦が多く全体の食物の約7割を占めます。ただ、3~6歳で約6割は耐性を獲得するという報告があります。
生活習慣:適度な運動と規則正しい睡眠が大切です。3歳時の生活習慣はその後も継続するといわれており、幼少期から適切な習慣を身につけることが必要です。